他人は変えられないけど、自分で変わっていくチームは作れる
「他人は変えられない」とはよく言われることで、反対する人も少ないのではないか。ただし、なぜか他人のモチベーションや帰属意識などのソフトな部分を変えられると思っている人が一定数いることに気づき、何で変えられると思うんだろうと不思議に思うことがある。
過去「会社を好きになって!」と言われたことがあり、それが大嫌いだった。なぜなら、街中で「今からあの男性を好きになって!」くらい違和感を覚えたからだ。好きになるかどうかも好きの度合いも私次第であり、体験や時間経過に伴って作られていくものだろう。会社を好きになってほしい、可能であれば自分と同じくらい最大級に好きでいてほしいという気持ちは分からなくはないが、逆効果だと思っていた。今だから本音を言うと、同じくらいではなかったものの、結構好きだったんだと思う。会社の理念やスタイルに共感し、入社をしたわけだから。ただ、だからこそすごく嫌だった。
今回の主題とは異なるが、理念の浸透に関しては市谷 聡啓さんの「組織をファーストではなく、セカンドで合わせる。」という考え方が好きです。
「会社を好きになって」を恋愛で置き換えると「私をもっと好きになって!私と同じくらい愛して!」という言葉で恋人を変えられるかどうかが近いかなと思う。無理ですよね。男性たち裸足で逃げ出しそう。急に重い女感が出てしまったし。ほんとよくない。
好きだの嫌いだのとテンションが上がってしまったが、今日はその話をしたいのではない。私はエンジニアリングマネージャーをやっている。その中で、人やチームを変えたいと思うことがたくさんあったが、私の力で誰か、またはその集合体を変えられるとは思っていない。あくまで誰かが、自分自身で変わる必要がある。
他人を変えることはできない、特にソフト面は。と信じている私が、変えることはできないが、本人が気づいて変わっていくようにとタッチし続けることはできるという話をしていきたい。
エンジニアリングマネージャーのミッション
エンジニアリングマネージャーの仕事は組織の力の最大化だと思っている。端的に言えば、価値をより早く、高品質に、安定的に生み出し続けること。そしてその状態であるためにはチームが自走して成長し続けること(ラーニングゾーンにいること)が必要だと考えている。ラーニングゾーンについては、広木大地さんの記事がとても参考になります。
そのようなチームになるために他人を変えていきたい場合、どのようにアプローチしていくのか。
1. まず「チームになる」
組織の三要素で言う「共通の目的」を作ることは必要です。それは、目的がなければまずチームとして一緒に走れないからです。目的の存在はチームに大きく影響しますが、過去記事にまとめているので見ていただけると嬉しいです。
また、上記の記事では触れていませんが結果を定期的にメンバーで振り返ることも大切です。せっかく目的に合意してチームとして存在していてもその結果を見返すことがないと、忘れるかあるいは特定の誰かだけが頑張り続ける状態になり、自走するチームにはなれません。
2. 心理的安全の保たれたチームになる
心理的安全がない状態では以下のような問題が起こり、チームの力が激減します。1+1=2にもならない状態になるということです。
- 相談がしづらい(またはできない)ために完了が遅れる。大きな手戻りが発生しやすくなる
- 誰かが課題に気づいても言いづらいため、解決することが難しい
- 弱みや失敗を出しづらいので、同じような問題が何度も発生する
心理的安全のあるチームになるためにはまず、お互いがお互いをよく知り、ざっくばらんに話せる関係になることが大事です。
おすすめは、雑談をする機会を作ること*1、楽しいゲームをすること*2です。ゲームはチームにとって良いものだと二度美味しいですが、単純に和気あいあいとゲームをするのは楽しいのでそれだけでも良いと思います。顧客が本当に必要だったものゲームは単純にすごく楽しくて、やってみてほしいです(笑)
エンジニア3人でカオスを創出してYTK出してみた pic.twitter.com/fkJlluWBCs
— いしげ (@oturu333) 2019年9月13日
また、このようなことを考えた際に以下の書籍がとてもおもしろく、参考になりました。
「職場の問題地図 ~「で,どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方」
雑談をベースとして心理的安全のあるチームを作ることによる一番のメリットは、課題が埋もれづらいことです。組織の力の最大化において、課題はなるべく早く見つかったほうがありがたく、視点は多いほうが良いです。そのような声を上げやすい状況を作ることで、自分も楽できる上、メンバーの思考も分かったりするので一石二鳥です。
3. 課題の発見、解決
スループットが下がることにつながるボトルネックの解決を行う必要があります。具体例で言うと、以下のようなことをしていました。
- 属人化している作業やナレッジを無くす
- 技術力の底上げ(教育)
- 見積もり制度を高めるため、不確実性と戦う
まとめ
うまいことやるためにひたすらに解決や改善を繰り返す。そのために必要な心理的安全のあるチーム作りや、目的作り、PDS回し。エンジニアリングマネージャーになってからはずっとそのように生きてきている気がします。こういうことをしているとどういうチームになるかは、過去記事を見ていただければと思います。
最後にこれまでにつらつら書いたことを図示したので、貼っておきます。
リリース月1、タスク管理もままならない状況から半年間でやってみたチーム施策をまとめてみた pic.twitter.com/2OuKHJKr6O
— いしげ (@oturu333) 2019年7月31日
P.S. 転職活動中です
こんなエンジニアリングマネージャーに興味を持っていただけたら、ツイッターからご連絡いただければと思います(こっそり)
*1:朝会で持ち回りで5分ほど話す時間を作りました。序盤は自己開示系のテーマ(趣味や、価値観など)で固定すると、みんな自分の話がしやすいです。徐々にみんなが知りたいことや、過去・未来のキャリアについてなどは楽しかったです。
*2:マシュマロ・チャレンジ、アンガーマネジメントゲーム、顧客が本当に必要だったものゲームなどをやりました